瀬戸内海に浮かぶ日生諸島の頭島で、祖父の代から牡蠣の養殖をおこなっています。もともとは一般企業に勤めていましたが、頭島の過疎化による漁師減少を目の当たりにして、頭島を盛り上げたいとの想いで栄勝丸3代目となりました。漁師の魅力を伝えることで、漁師を目指す人を増やしたいと考えています。
頭島の牡蠣(若牡蠣)
岡山県の牡蠣生産量は全国でも第3位につけています。
頭島牡蠣は、旨味成分が強く、牡蠣独特の風味をもち「海のミルク」と言われるほど栄養素(鉄分・ビタミンB12・亜鉛)を多く含んでいます。また、大粒でふっくらしており、貝の身が白くやわらかで、加熱しても旨味・風味が変わらず、縮みにくいのが特徴です。
おいしさの秘密は、日生諸島の恵まれた自然環境にあります。岡山の一級河川である吉井川や旭川、そして周囲の島々から豊富な養分(植物プランクトン)が海に流れ出すことで、牡蠣が育つための最適な環境が整っています。
通常、牡蠣は種付けから水揚げまで約2~3年を要しますが、頭島では、わずか1年で出荷できるサイズまで牡蠣が成長します。このことから、頭島牡蠣は「若牡蠣(1年牡蠣)」とも呼ばれ、多くの方に評価をいただいています。
おいしい牡蠣ができるまで
<盤通し>
2月〜4月にかけて、ホタテ貝の貝殻の真ん中に穴を開けて針金を通し、70枚ほど通したところで半分に折り曲げて1本が完成。これが牡蠣の種が付着して育つ「ベッド」となります。この作業を夏の採苗時期までに、約25万枚分も用意します。
<採苗・抑制>
夏になると、卵からかえった牡蠣の幼生が海を漂い始めるタイミングで、用意した盤通しを海に落とし、牡蠣の幼生がホタテ殻に付着するのを待ちます。付着確認後、この盤は「抑制棚」と呼ばれる保管場所で、翌年の4月まで寝かせます。
<筏養殖>
上記で説明した採苗は「来年用の牡蠣の準備」。今年の冬への準備は、去年の夏に採苗し、抑制棚で寝かせておいた種付きホタテ殻を用意します。これを、約6〜9メートルのロープに付けていきます。1本のロープに30枚ほどのホタテ殻を付けたら完成。これを「垂下連」と言います。これらを牡蠣筏1台につき約800本つりさげます。
暑い夏の間も筏の上から成長具合をチェックしながら、冬の収穫まで海で大きくしていきます。
<収穫>
毎年11月上旬ごろから収穫をスタートさせます。垂下連には大きくなった牡蠣がびっしりとついているので大変重くなっており、漁船に装備されたクレーンとウィンチで巻き上げ収穫します。水揚げした後は、殻付き用と剥き身用に選別して、洗浄を行います。そして再度、筏に約2週間つるします。そうすることで、殻いっぱいに身が詰まったプリップリの牡蠣が育ちます。
<発送>
殻付き牡蠣、剥き身牡蠣はその日の朝水揚げした新鮮とれたてを発送しています。
環境保護・地域貢献につながるよう
栄勝丸が加盟している日生町漁業協同組合では、定期的に勉強会を行っています。今後は、おいしい牡蠣を生産するだけではなく、牡蠣の殻を有効活用して環境保護や地域貢献にもつなげていけるよう取り組んでいきたいと考えています。