
岡山高等学校は、岡山市南区箕島にある私立中高一貫校です。校訓の「天分発揮」のもと、個性を伸ばし、知育・徳育・体力をバランスよく発達させ、複雑化する社会に貢献できる人材の育成に力を入れています。
岡山高等学校では「総合的な探究の時間」の授業として、生徒自らがSDGsを意識したテーマを設定し実際に課題解決に取り組んでいます。
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■「総合的な探究の時間」とは 探究的の見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、自己の在り方生き方を考えながら、よりよく課題を発見し解決していくための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。(後略) 文部科学省 高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説総合的な探究の時間編 |
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【ボラボー】

41期生「ボラボー」チームは、笠岡市の沖合に浮かぶ人口約300名の小さな島「白石島」をフィールドに活動しています。瀬戸内海の豊かな自然に触れながら、その課題についても学んでいます。

里海再生活動
「里海」とは、「人が適度に手を加えることで生物の多様性や生産性が高くなった沿岸海域」を表す、瀬戸内海から生まれた学術用語です。この概念は海洋資源の枯渇した地域や汚染された海域の問題解決策として注目を集めています。
瀬戸内海の沿岸地域は、穏やかな環境を生かした海運業で発達していきました。外洋とは異なる環境で生まれた独自の生態系から、様々な食文化も発達し、人々は海の恵みを教授しながら暮らしてきました。海と共に生き、海を豊かに保つための工夫が、自然に行われてきたのです。
しかし、工業化が進み人々の生活様式が変化したことで、海洋環境は悪化していきます。
人が関わることで大きな影響を受けた環境を「完全な自然状態に戻す」のではなく、それぞれの立場から人が海と関わり、再び豊かな環境を「創り出す」。
そのような「里海再生活動」の一部であるという考えのもと、学び活動しています。


ボラの歴史と人々の印象
ボラボーチームは、里海再生の象徴となりうる魚として「ボラ」を課題魚に缶詰レシピを開発しました。
ボラは、全長30~100㎝ほどで、大きなメダカのような見た目をしています。基本的に群れで生活しており、海面を埋め尽くすほどの大群になることもあります。
ボラというと、「大量発生して迷惑」「獲れても1㎏10円ほどで高く売れない」「臭いイメージ」のように、悪い印象を持たれることが多い魚です。ボラは生命力が非常に強く、雑食性で海底の藻類を泥と一緒に吸い込んで食べてしまうため、「臭い魚の代表」といったイメージが定着していきました。

しかし、歴史を紐解いてみると、「ボラは各地で愛されていた魚」ということにたどり着きました。大漁で賑わう漁港、庶民の日常の食材として、人々がボラに親しんでいた伝承や記録が残されています。岡山城の発掘調査では、ボラの骨も出土しています。また、江戸時代から戦前にかけての岡山には、「ボラの敷網漁」というボラを獲るための漁法もあったようです。ボラの群れる性質を利用し、群れごと網で一気にすくい上げる大掛かりな漁は圧巻の光景で、たくさんの観光客が押し寄せ絶賛したとされています。
ボラは岡山県沿岸部の人にとって、食だけにとどまらない様々な価値・可能性を持った、スーパースターと呼ぶことができる魚だったのです。
そのようなボラに、悪いイメージがつくようになった転機が、1960年代の高度経済成長期。沿岸海域の海水が汚染され、環境も悪化したことでボラは臭い魚に変わっていきました。食卓に並ぶこともなく、ボラ漁も行われなくなってしまいます。
現在、瀬戸内海の赤潮発生件数は、高度経済成長期と比較して少なくなっており、瀬戸内海の水質は格段に改善されています。それに伴い、ボラも臭い魚ではなくなっています。
実際に白石島で獲れたボラを刺身で食べてみましたが、全く臭みがなく、しっかり脂ものって甘みも感じられる上質な白身魚で、その美味しさに衝撃を受けました。
ボラのぼっかけ
ボラの歴史を調べる中で、かつて「ボラのぼっかけ」という料理が存在していたと知りました。ボラと根菜類を煮付け、ご飯にかけて食べる、岡山県の沿岸地域に伝わる伝統料理です。このぼっかけを復活させることで、ボラの美味しさと歴史を伝え、その価値を見つめ直したいと考えました。

歴史資料を調べたり、白石島の漁師の方、海洋記事を掲載している新聞記者の先輩など多くの方に教えていただいたりしながら、レシピ復活につながるたくさんの貴重な情報を得ることができました。

100年以上前の地域料理なので、使う食材は当然地元産。食材すべてで、「地元岡山」をアピールすることができる缶詰に仕上げています。ボラと一緒に煮込む野菜は「連島れんこん」や「連島ごぼう」など地域の特産品にこだわりました。味噌は、「にいやまの里はと麦味噌」を使用しています。香りがとても良い笠岡市の手作り味噌です。

試作を重ね第1弾の缶詰が完成すると、「ボラが旨い」「ご飯と合う」などの声をいただくことができました。

さらにグレードアップすべく、ホテル・リマーニのシェフを訪ねました。シェフのボラ料理を食べ比べさせてもらいアドバイスをいただいて、レシピが完成しました。

伝統的なぼっかけのレシピをもとに、現代の人がご飯にかけて美味しいと思えるような調味料配分で仕上げています。これまでの試作品に比べ、味に一体感が生まれ、味噌の芳醇さ、そしてボラの強い旨味が感じられる一品となりました。

商品名は「シマレット」
ボラの美味しさを広めたい。そのためには、ボラのイメージアップは欠かせません。綺麗な水域をアピールできる白石島のイメージで「シマ」と、ボラの英訳である「マレット」をかけて、商品名は「シマレット」と名付けました。
商品ラベルは福山大学の猪原桃也さんに協力してもらい、オリジナルイラストで製作しました。ボラと一緒に煮込んでいる根菜類のイラストも入れて、商品の味をよりイメージできるものとなりました。

LOCAL FISH CAN グランプリ 2025「ベストストーリー賞」を受賞
「LOCAL FISH CAN グランプリ 2025」にも出場しました。LOCAL FISH CAN グランプリは、全国の高校生が地域の課題魚を利用したオリジナル缶詰やレトルトパウチを開発するアイデアコンテストです。このグランプリでは、地域の課題魚を通じて海の現状課題や未来の展望を知り、海に関心を持ち、高校生自らがアクションを起こすことを目的としています。
今回は9校が本選に出場し、ボラボーチームの「シマレットのぼっかけ」は、ベストストーリー賞を受賞しました。
里海再生につながる活動を
ボラは、本来値がつかず獲れても赤字になる魚。しかし、「シマレットのぼっかけ」で使用しているボラは、水揚げ後の下処理も含めた価格で購入させていただいています。
また、商品のテスト販売では売上結果も良く、ボラはお金になるということがわかりました。
販売実績を上げて、この商品を足掛かりに、次なるプロジェクト「ボラの学校給食化」も企画しています。


この活動から、ボラが地元に根付き、人々が再び海と共に生きていくようになる。そのような、「ボラが里海再生の象徴」となるためにも、まずは商品を広めていくことが大切です。今後も、岡山県・香川県での展開を中心に、販路開拓や異業種コラボ、販売を通じた啓発活動を行っていきます。





