就農のきっかけ
海田園黒坂製茶は岡山県の北東部、美作市海田に位置し、代々お茶の生産者としてお茶づくりを受け継ぐ中、父の代で創業しました。幼少の頃よりお茶づくりが日常という暮らしの中で育ち、大学卒業と共に帰郷し、製茶工場の後を継ぐことを決めました。
海田について
室町時代の諸国物産の書に「お茶は武蔵、山城、美作の国の産物」と記されており、岡山のお茶どころ美作・海田では、そのころからお茶が生産されていたと思われます。
静かな山里、緩やかな丘陵地に、茶畑が段々に連なり、水はけの良い大地に朝霧が立ちこめ、昼夕の温度差が大きく良質茶生産の条件が整った海田地区。
ここで生産されるお茶は、味と香りの良い海田茶として生産され、五月の新茶最盛期には、海田の茶畑は、鮮やかな黄緑色の新芽が一面に広がり、茶工場から茶葉を揉む爽やかな香りで、谷あいが包まれます。
お茶に込める想い・こだわり
海田園黒坂製茶では、お茶づくり50有余年、減農薬栽培にこだわり、土づくりから茶木の栽培、摘み取り、加工まで自社で一貫製造、地元100%のお茶をご提供しています。
自然の恵みに感謝しながら茶の木と語り、お客様に喜んで頂けるお茶作りを目指して、茶園に優しい有機肥料を主体に化学肥料とのバランスを考えて土づくりに時間をかけながら、おいしいお茶をお届けできるよう精進しています。
茶の木は、妥協するとすぐ茶葉の生育に影響が出ます。その代わり、ちゃんと目をかけてやるとその分応えてくれます。
妥協をせず自分が納得できるものを作り続けているからこそ、自信をもってお客様にお薦めできる。海田園黒坂製茶では創業以来ずっと、自然と自分に実直に、お茶づくりと向き合っています。
<こだわり>
☆自然の力を活かした茶葉育成☆
茶葉と土壌の状態をしっかりと見極め、悪い虫が出てもその虫をやっつける虫がいたりといった、自然のサイクルをうまく利用しながら、農薬の使用を極力抑え、低農薬栽培に努めています。
☆伝統製法の継承☆
室町時代から受け継がれてきたといわれる美作番茶(日干番茶)。生産者が減少する中、 全国的にも珍しいこの伝統製法を海田園黒坂製茶は今も受け継いでいます。
美作番茶は、一番茶を摘んだ後に伸びた枝葉を大釜で煮て、むしろに広げて天日干しにするもので、途中、乾き具合を見ながら、釜の煮汁を幾度か回しかけ、飴色に輝く茶葉に仕上げます。
美作番茶だけでなく、海田茶は緑茶としての評価も高く、海田園黒坂製茶は「岡山県茶品評会」において、数々の賞をいただいています。
☆土づくりから加工まで一貫製造☆
お茶の葉は、生き物と同じで繊細です。長年の経験と技術で、生育状態を見極め、土づくりから加工まで一貫して行っているからこそ、茶葉を最良の状態で最適な加工を行うことができます。
☆品種茶と和紅茶☆
一般的に販売されている煎茶はブレンドされたものが大半ですが、当園では多様化する嗜好に対応するため、単一の優良品種だけで仕上げた風味の違う煎茶シリーズ「single origin」や美作産茶葉を使用した「和紅茶」も製造販売しています。
<single origin>
■おくみどり/当園一押しの品種茶で、深みのある旨味と香りが特徴のお茶
■おくゆたか/優雅な香りに旨味をそなえた希少品種のお茶
■りょうふう/珍しい品種茶で、爽やかな香りに程よい滋味と清涼感のあるクリアな味わいが特徴のお茶
※その他にも7種類の品種茶を生産しています。
<和紅茶>
美作産茶葉を使用。すっきりとして甘味がある飲みやすい紅茶で、くつろぎタイムにぴったりです。
新たな切り口でお茶の魅力を次の世代に
海田園黒坂製茶では、海田茶を使用した6次化加工品として、美作番茶と地元特産の黒大豆・作州黒を使ったパスタソース「茶ノベーゼ」や、美作茶の香りが口の中で広がるメレンゲ菓子「茶レンゲ」などの製品開発もおこなっています。 「茶ノベーゼ」においては、フードアクション・ニッポン アワード2018を受賞しました。次の世代の方にも海田茶はもちろん、海田を知ってもらいたい。製品を手にすることで、足を運んでいただくきっかけになればという思いをもって取り組んでいます。
また、お茶をより身近に感じていただくために、予約制で工場見学やお茶体験も実施しています。